たのらん。(仮)

楽しく走るのが目的の人間。

あさひなぐを一気読みしてみての感想。

水曜から雨のせいで折角の休みなのに全然走れてないしょんぼり。
なのでイレギュラーにマンガ話を。

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予定のない夏季休暇に台風が重なったのでネカフェへ。新刊コーナーであさひなぐというマンガが完結していて最終巻を読んだら面白かった。
なので1巻から一気読み。昔は途中までは読んでたけどなぜか途中から読まなくなってた。
で、一気読みしてなんで私が途中で読まなくなったかというと10-15巻当たりで方向性が変わってってごちゃごちゃしたのでやめたくさいと思った。
それが15巻ぐらいから16巻の薙ちゃんの一言による順位付け勝負でその後最終巻までの流れができて、そこからはまたずーっと面白かった。
個人的には最初の頃のギャグ多めのノリのいいテンポが好きでもあったけどスポ根モノとしては後者。
とにかく(東島等一部除く)みんな口が悪い。でもその口の悪いツッコミが面白い。
さくらのさらっとした毒っ気が面白かった。

旭はやはり主人公。
なんだかんだいって真ん中にいて、弱かった頃から強く変わっていく過程が普通の漫画だと段々と強くなってくぞ!なのが、旭は変わることを恐れて、それでも強く変わっていく過程をちゃんと話数で消化してて他とは違った主人公キャラ。
その後も所々でヘマして追い込まれてから元気出して、でも負けることもあってでただ強くなっていくだけじゃなくて勝ったり負けたりでキャラクターとして成長していく様がかっこいい。

さくらは序盤の毒っ気がただただ面白くて試合も向こう見ずな展開で面白かったのが辞めるかどうかで戻ってきて、そして野上部長からの引継ぎではこれ以上ない最っ高の毒っ気で部長になって、それ以降は実力では入れない中にちゃんと必要なキャラクターとして特別な存在になっていって良かった。

将子も最初はつっけんどんなオラオラキャラでホントオラオラつっけんどんだったけど徐々にモノローグで言葉が増えるようになってからは剣道からの薙刀へに色んな彼女なりの性格が出てきて、苛立ち怖い弱い強いがどうたらこうたらもぐるぐる成長していって最後はちゃんと目の前の"人"に対して彼女が戦っている。素晴らしい。
あ、思い出し。将子のビンタのシーンは笑った。
次期エース。・・・でも3年になった時は彼女らはどうなってるのかねぇ。

宮路真春。
なんだろね、「真春」ではなく「宮路真春」というキャラクターと感じる存在感。
振り返ると2年連続でケガで大事な場面を棒にふった不運なキャラクターなんだけどその一言では収まらない存在感。
ずっと柱であり、船頭であり、常に二ツ坂高校が二ツ坂高校であり続けた帆。
帆はなびくけど、海の上では船員とは違う高さで常に違う高さの景色を見ている。
でもその帆を破れないように引き留めるのは船員たち。語弊を感じてすまんが、そんなん。
(柱と船頭と帆が一緒になるけどここでの例えは別々の例えです)

えりはやめなくてよかったぁ。。。
部内戦でもうあかんわと落ちてからのさくらの差し伸べた手、そしてその後のインハイ団体戦での活躍。
・・活躍というとどうか分からないが、不安定なえりの印象から常にチームの為に最善手をこなした存在は、最初の頃の引き分け狙いのチームの為の最善手とは違った強さだった。

文乃。
・・・いつの間にか目が描かれるようになって、なんだこいつも結局は美化か!?と思いました笑
まぁ寿慶さんの最後の合宿で絞れて目が大きくなったんだなと思うようにしました。
だいぶ本筋では勝っても負けても・・・というか引き分けの印象強くいつも明るいデブキャラ。
(デブと普通に呼んですんなり進む話の良さ。今時こんくらい口悪くてOKなん面白いわ。)
将子とのエピソードを終盤で持ってくる良さ。

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一堂寧々は個人的裏主人公。
ざーっと読み返すと他校だし口きかないしで終盤まではそんなに話に絡んでくる話数が多くない印象だけど、旭の最初のあの一言から何故かライバルポジションとしてずーっと話の中核にはいる。
そして何故かは分からないけど読んでてやっぱり寧々はそのポジションにいていい存在感のキャラクター。
一人を押し通し続け、でもその一人も一人だけど違う一人に。
個人的に一番好きなキャラクター。良い子や。

いい話だと國陵高校は最後はみんなわだかまり溶けて仲良くなりましたなのに、そうじゃない。
でもそれが彼女たち國陵高校としての和解。いや、解けてはないから和解ではないか。有り体で言えば在り方か。
でも溶けたように見える良さ。

的林つぐみも寧々を支える上で外せない。
最初はただ寧々が嫌なやつだったのに気づいたら寧々が國陵の輪から外れないようにいつも気にかける。
二ツ坂みたいに励ましあって支える関係じゃない。でもちゃんと國陵の仲間としてその輪を繋いでいた。
的林がいなかったらホントに國陵はダメだったように思える。
ちゃんと幕間で彼女自身のエピソードに触れるのも作者の素晴らしいところ。
むしろ幕間と表記するのが申し訳ないくらいどのキャラクターにもスポット当てててホント素晴らしい。
的林も好きなキャラクター。

島田十和。
……あの序盤のちょっと出のあのキャラクターが何故こんな変貌を遂げるか!?
人相変わりすぎだろ!笑
正直全く予想外。
旭と同じ境遇なのに、旭は真春に憧れてジェダイになったのになんで十和はダークサイドに落とすねん!十和も良い子やないか!!
最後はアナキンがダークサイドから戻ってきたようになったけど、果たしてそれで戦い方が変わるかといったら彼女の薙刀は奈歩先輩に憧れてああなってそれが違っているという認識ではないから戦い方自体は変わらないのではないか。流石に他者へのおちょくりはなくなると思うが。
そういう意味ではこの後もまだまだ揺らいで変わっていくキャラクターだから二ツ坂の一年勢の成長と含めて変化を見てみたいキャラクター。
旭、寧々に並ぶ主人公。。というかこの3人良すぎでわ。
旭とライバル寧々がかっちょいいダブル主人公で共闘して敵を倒していく!
そこへ終盤ダークサイドから蘇ってきた十和が加わる三人衆!
・・・そんなパラレルスピンオフSFモノすごく読んでみたい。

戸井田奈歩。
絶対神。真春も強いけど彼女"は"最後までホントに強かった。
太陽として全てのモノを照らす光。が、それに憧れ近寄るものは全て焼け死ぬ。
太陽が与えるものはあっても太陽に与えることができるものはない。それはブラックホールくらいか。
その点で十和はブラックホールと化したか。己が光を弱らせ、周りを見るにはそれが必要だったのか。
最後まで変わらなかったけど、彼女の道は変わらずとも他の道があってもいいことを知った。
強かった。

愛知薙。
最初はただかわいくていい子ちゃんキャラだったのに本性見せたら周りの口の悪さで一気に俺様キャラになって笑った。(俺様キャラの女性版ってなんて言うんだろ?)
でもそのおかげで二ツ坂がより強くなり、且つ彼女自身の成長にもつながっていって良かった。
インハイでおのぼりさんになって一本取られてワタワタしだすのがかわいかったし口の悪さでズバズバ言うのも子供っぽくてかわいかった。
好きなキャラは一堂寧々だけど息子娘で言ったら愛知薙。
この子のその後の成長もまだまだ見たかったなぁ。

ダイクとトド。
話の都合上仕方ないのだが、成長は見えても結局この二人の薙刀の成長はまだまだ分からずじまい。
トドは未知数すぎてホントこの後どう成長していったんだろう。
ダイクは最初のオドオドから大分強くなったけど、最初は旭と同じ系統キャラとして、でもちょっと違う旭の葛藤もあり、元気になったけど合宿でのでも旭みたいなホントの努力キャラでもないゆらぎもあってまだまだ成長が分からなかった。。
でも旭みたいな急曲線な成長は見込めない感あるんでどうなってくんかな。

寒河江さんも"さん"づけしたくなるキャラで、お荷物になるまいと自分をさらけ出して変わって、でもそれは実際さらけ出し続けてきた人間じゃないと辛いことで、そこはやはり部長としての責務を感じる責任感ある人。だから寒河江さんはやっぱりいい人だよ。

三須さんもまさかの単独話数もらっての描写があって、ホント作者はみんなに対して丁寧に描いてる印象があって優しい方だなぁと。

ひろ美は序盤のフックになってるキャラクターで面白かったなぁ。
後半以降の真面目路線だとなかなか話に入ってこれなくて寂しかったけど最初の旭との絡みはすごい面白かったわ。

辻野先輩は最初の合宿で他地域キャラとして今までにない登場の仕方から、でもチームとしての弱さをどうするか悩める部長であったりいいサブポジキャラでした。和歌山はダメという十和のとこはすごいわ。

都川は個人戦だけの抜けたキャラで、強い設定なのに試合描写もほぼなく最後までにぎやかし要因だったので実際の試合描写で他キャラのように何を考えやってるのか見てみたかったな。
でも何も考えずあっけらかんとやってるキャラって立ち位置におさめるのもよかったのかな。

乃木さんは最初はイケメン男キャラだったけど、男子のカップもらって泣いてるところまで行ったら・・・
ホント乃木さん、あんた漢だよ・・・!
もうこのマンガのキャラみんないいやつばっかやん。

寿慶さんや郁林さん、やす子先生に小林先生。
良い大人のサポートキャラとして話をまわしてくれて良かった。
小林先生がバカで、最後までずっとバカで良かった。
郁林さんの過去もさらっと流してたけどかなり重そう。。

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河丸摂。摂ちゃん。
突如として現れたダークホース。キャプ翼の三杉くんよろしくの悲運の天才キャラ。
・・・なのだけど、このマンガのキャラには天才って形容は相応しくない。
持病により他人と同等に戦えない。
でも、それでも摂ちゃんは摂ちゃんの中でのできるやり方で強くなることを目指し、努力し、そして強かった。5秒間だけの世界一。
マンガ内で戦ったのは関東大会ただ一つだけど、それ以上の存在感と強さのキャラクターでした。
旭、寧々、十和に並ぶもう一人の主人公。
・・・うーん、でも立ち位置その3人とはちょっとズレるから準主人公的な。
時間限定で3人を助けにくる強力サポートキャラでSFスピンオフを。(またか)

山田さんもね、ホントに辛い思いをして、でも最後の最後にあーゆー救済を持ってくるのはホント作者のこさぎさんはよく考えてるなと。みんなにちゃんと目を向けててすごいな。

夏之おまえ何少女マンガしとんねん!笑
とりあえず旭が夏之君と絡むとこは常に少女マンガモード爆
旭もなにあの小さい「好き」は!変わるの怖いとか言っててやってること完全少女マンガのヒロインやんけ!笑
まぁその後の流れはないから何とも煮え切らない微笑ましさがまた良いんだけど。
からかうさくらちゃんが最高に面白い。でも実際あーゆー仲はからかうとあかんから難しいんよねぇ。
最後も手をそっとつないで何この青春ニヤニヤと思ったらパッと手を離して道場に礼に行く旭のとこの夏之の「・・・」の間(笑)。いや、いい仲やねぇ。

・・・と各キャラまだまだいるけど、そんな一人一人に個性が見て取れるくらいそれぞれの掘り下げがあってこの作品の濃さがあがってるように感じる。

                          • 以下雑記-------------

個人的には16巻からはずーっとインハイへ向けて地続きの最終エピソードになってる印象。
その分一気に読み返してみると作者が常に過去話数から細かいところを拾ってきて絡めてるのが再三再四で恐縮だがホントよく考えててすごいなと思った。昔の話数を大事にしてる。そのおかげでモノローグや台詞の重さもでてくるし。

そんな意図はなかっただろうけど、さくらのセリフで旭に対して「中の人変わっちゃたみたい」的なところでこの作品がインハイへ向けた終盤までの方向性にしっかりと変わっていった感じがする。

359本目の最初に泣いてる子は誰なのかめちゃくちゃ気になる。
はじめは薙かと思ったけど髪がお団子じゃないし、かといって誰かも分からないキャラをここで入れるような作者じゃないし。
とすると準決勝で負けた誰かなのかと思ったけど面被ってて対戦選手の髪型までは分からないしで。
うーん気になる。

序盤のリレーであのメガネうちのメガネにとか面白いわ。

電子版だと裏表紙ないんだね。。。
裏も含めた表紙が多いのに、特に最終巻なんかは裏ないとえー!!!やんけ。

この作品は負けることがまた上手く描写されているように思う。
常に勝ち進むんじゃなく、勝ったり負けたりして精神状態に左右されやすい幼さを持った高校生たちの成長がまたリアルさを増していたように感じた。
で、全体通して面白いんだけど改めて思うと結構、というかしょっちゅう試合で泣いてる印象があったがリアルもそんなに泣くのかなぁと思った。
(私は高校時代はバドミントンやってたが、今でも覚えてるのは一年の時に試合で負けたときに泣いたのは覚えてる。旭たちみたいにマイナー競技で人が少なかったから、素人でもいきなり県大会に出れてボロクソ負けて。そのままそこまで上手くならずに3年なって、相変わらず下手だったから逆に最後の大会は涙でてこなかった。自分で思った試合ができなかった悔しさはあったけど。)

スラダンや高校野球のような一発トーナメントじゃない分、話のピークを各キャラ分散できたのはすごく良かったように思う。
そこも上記16巻以降の地続き感になってると思う。

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読み返しながら書いたらあーここもここもでもっとちゃんと出てくると思うけど、和歌山のあの子誰だっけ。。。と思ってwikiを見るくらい記憶力が弱くなったおっさんでは
こんなスカスカな感想文しか書けなんだ。